はじめに |
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衝撃波治療は、爆発や物体が高速で動くときに発生する音波(衝撃波)を体表から照射し、治療に必要なエネルギーを伝播する治療です。治療直後より除痛が得られ、傷んだ軟部組織(筋・筋膜・腱・腱膜・腱鞘・骨膜等々)の回復をうながす新しい治療です。
当初は尿路結石を破砕する装置として1980年から医療に応用されました。照射するエネルギーを10分の1ほどに抑えることで組織修復に対する有用性が証明されて、1994年からは欧米では整形外科疾患の治療にも応用されています。 いまや衝撃波治療はヨーロッパを中心に普及し、多くの腱炎・靭帯炎など疼痛性疾患の治療に応用され、低侵襲で安全かつ有効な治療法として確立されています。 特にスポーツの分野において、衝撃波治療はドーピングにはあたらず、シーズン中でも実施できることから欧米ではプロスポーツ選手の治療にも広く活用され、日本でもスポーツ選手のコンディショニングの器械として導入されてはじめています。 近年では徐々にその有用性が認識され、体外衝撃波治療器の普及が始まっていますが、まだ広く普及しているとはいえず、神奈川県で衝撃波治療を受けることができる医院は数少ない状況です。 |
衝撃波の治療効果 衝撃波治療は、すぐに痛みをとる効果と傷んだ組織の修復をうながす長期的な効果があり、従来のさまざまな治療の代わりになる可能性があります。また、反復して施術を行うことでより確実で長期的な効果が期待できます。 |
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すぐに痛みをとる効果
敏感になって痛みを感じやすくなっている知覚神経の自由神経終末をブロックすることで施術直後から痛みがなくなることが期待できます。従来行われてきた 局所の痛みをとるためのトリガーポイント注射と同様に施術部位の痛みをなくす効果があります。 |
長期的に傷んだ組織の修復をうながす効果
衝撃波から伝えられるエネルギーが患部の血管新生を誘導し血流を改善することや軟部組織の再生を担う物質の産生を促進することで、痛んだ組織の修復がうながされ、治療効果が持続します。 従来から有効性が証明されている 組織の修復をうながす運動療法(遠心収縮トレーニング)は患者自身が反復して実施する必要がありますが、衝撃波治療は同様の効果を医院での施術だけで得られる可能性があります。長期的な効果をあげるためには、衝撃波治療を反復して行うことが必要です。 |
治療の副作用 |
治療できる疾患 |
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・足部(足底腱膜炎、アキレス腱炎、アキレス腱付着部炎)
・膝(膝蓋腱炎)
・肘(上腕骨外上顆炎)
・肩(石灰沈着性腱板炎、腱板炎)
・骨折(偽関節、疲労骨折)
・その他(早期の離断性骨軟骨炎)
実際の衝撃波治療の対象となる疾患は痛みを伴う軟部組織全般の障害です。
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拡散型衝撃波の特徴
当院に導入している拡散型体外衝撃波疼痛治療装置(
MASTERPULS)は、エネルギーの到達深度が
2センチ程度と浅く、深部組織や骨実質の障害の治療に不向きですが、エネルギーが広範囲に拡散するため、
体表に近い筋肉や筋膜などの軟部組織をマッサージし、組織の柔軟性を向上させる効果があります。また、マッサージ効果を上げるための衝撃波治療以外の様々なアタッチメントが用意されています。
そのため治療に応用できる疾患が広く、一般的な筋筋膜性の腰痛や肩こり、固くなった関節や筋肉のストレッチ、筋膜リリースの効果も期待できます。従来、施術者の技量に依存していたマッサージや筋膜リリースと同等の効果が拡散型衝撃波治療器で得られます。 |
衝撃波治療を受けるには |
衝撃波治療は理学療法士の行う運動器リハビリテーションの一環として実施します。 |
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実際の衝撃波治療器
拡散型衝撃波治療器は広い組織にエネルギーを届けます。
肩こり
肩関節腱板炎
色々な筋膜性の痛み(使用している端子は衝撃波治療器に付随しているバイブレーター)
腸脛靭帯炎(ランニング障害)
使用している端子はマッサージ用のものです。
膝蓋腱炎・ジャンパー膝・オスグット病
シンスプリント・疲労骨折
ふくらはぎ肉離れ後の筋拘縮
アキレス腱炎・アキレス腱付着部炎
足底腱膜炎・踵骨棘
足底腱膜炎・扁平足障害